毎週土曜日はダメ人間

『ぱぱぁ・・・・』

枕元で誰かが俺を呼んでいる。

『ぱぱぁ・・・』

苦しそうに俺を呼んでいる。声がかすれている。息子だ。

『んん、どーした』

眠くて目が開かない。

『お口の中が痛い』

口内炎でもできたか。薄目を開けて息子を見ると、前屈みになって顔を真っ赤にして涙を流していた。

『どーしたの』

と、よく見てみると口の周りが赤くなっている。

急いでリビングに行った。やっぱりそうだ。

昨晩、酒を呑んで帰ってきて、帰り道にちょっとスナック菓子が食べたくなってしまって買ったお菓子がカラムーチョ。しかもカラムーチョ神出雲唐辛子とかいうレギュラーカラムーチョより5倍も辛いというのがウリのお菓子。で、それを食べて、

『起きたら(息子)が食べちゃうから片付けておいてね』

と言われていたのに、テーブルの上に出しっぱなしにしておいてしまった。で、我が家で一番の早起き息子がそれを目敏くみつけて食べてしまった。あれは3歳の子供にとっては文字通り未知との遭遇だったと思う。だってカラムーチョを辛いと思ったことがない俺でもさすがにこれは辛いと感じたスナックだもの。

慌ててお茶を飲ませる。

『辛かったでしょ?』

『お口が痛い』

『そりゃ痛いよ。もっとお茶飲みな』

『冷たいお茶がいい』

しかし、息子が飲んでいるお茶は冷蔵庫から出したて、冷えた麦茶だ。これがホットに感じるほどにお口の中はホットになっている。緊急事態なので朝からアイスを食べさせた。

『いいの?』

『静かにね。ママには内緒だよ。パパのこと好き?』

『好き』

そこに嫁が起きてきた。
うわぁぁ。

『朝からなんでそんなもん食べてんの!』

『パパがくれたの』

『なんで目真っ赤なの』

『いや、なんか』

嫁の視線がテーブルの上のカラムーチョに。
頭の中で点と点が繋がったのだろう。


『このダメ人間!』

以上、我が家の土曜日、朝7時前の光景でした。