摘みたてホームレス 

ただでさえ蒸し暑い朝の山手線に、年季を感じさせるホームレスが座っていた。
金曜日まで引きずってしまいそうな異臭を放って座っていた。
くさやの臭いを嗅いだことはないが、くさやの臭いはきっとあんなだと思った。
比較的混んでいる車両だったが、彼の周りにはゆとりができていた。

しかし分からない。
電車に乗る金があったらおにぎりのひとつでも買えばいいと思うのだが。
人のぬくもりを感じたかったのだろうか。彼の行動の根拠がよく分からない。

もしかしたらSMプレイの一環なのかもしれない。
『この格好で山手線に乗ってくるんだよっ!お前の為に臭くしてやったんだよ!』
と叫ぶ女王様と、それに従う偽ホームレス。

偽ホームレスが部屋に戻ると、
『本当に乗ってきたのかいっ!この醜い豚め!』
と、やっぱり叫ぶ女王様。

ラッシュの時間帯限定プレイ。
山手線1周8,800円。
偽ホームレスの快感、プライスレス。